インフルエンザが流行しやすい季節になりました。
この時期、手洗い・うがい・マスクといった基本的な感染症対策を心掛ける方は多いのではないでしょうか。
今回は、その他にも有効な「歯磨き」についてお話ししたいと思います。
インフルエンザに歯磨きが有効?
2025年7月、ライオン株式会社が発表した最新の研究により、歯磨きをすることで、唾液が持っているインフルエンザウイルス不活性化のはたらきを高めることが証明されました。
この研究は、20〜50代の健康な男女16名を対象に、5分間の歯磨き前後で唾液がどの程度インフルエンザウイルスの活性化を抑えるか(インフルエンザウイルス不活性化能)を比較したものです。
結果は以下のとおり。
また、歯磨き後1時間経った後の不活性化能も83%という結果が出ており、歯磨き直後から低下してはいくものの、高い効果が見られました。
この「ウイルス不活化能」とは、唾液に含まれる成分がどれだけウイルスの感染力を弱めるかを示すもの。
つまり、歯磨きが身体本来の持つ防御力を底上げしたと言えるでしょう。
なぜ、歯磨きでウイルスに強くなるのか?
唾液には元々、様々な抗菌・抗ウイルス物質が含まれています。
しかし、口の中に細菌が多くいると、それらの働きが十分に発揮できないことが知られています。
今回の研究では、歯磨きによって、口腔内の細菌が減ったり、細菌に邪魔されず唾液の抗ウイルス成分がしっかり働けるようになったりすることが示されました。
結果として、お口の中の環境を清潔にしておくことが、唾液の持つ防御力を最大限に活かすポイントだということが分かったのです。
過去の研究でも
過去の研究でも、口腔衛生状態が悪い人はインフルエンザにかかりやすい、という疫学調査は報告されてきました。
例えば、歯周病菌がウイルス感染を助けてしまう、細菌が増えると喉の粘膜が弱くなる、といった間接的な要因があるからです。
しかし、今回の研究が示したのは、「歯磨き自体に、唾液の抗ウイルス力を強めるという即効性がある」という点。
これまでの研究のさらに一歩先に踏み出した内容でした。
今日からできる「感染症シーズンに強い歯磨き習慣」
さて、ご紹介した研究結果を踏まえながら、ここからは実際に取り入れやすいポイントをご紹介します。
①朝の歯磨きは特に大事
今回の研究でも、前日の夜から歯磨きを控えた翌朝に行った歯磨きが効果を示しました。
寝ている間に増える細菌を、朝しっかり落とすことが重要です。
②5分間の丁寧なブラッシングを意識する
普段より少し長めに、全体をまんべんなくみがくことで細菌除去効果がアップ。
特に、頬側、舌側、咬合面(噛む面)の3つの面を意識しましょう。
③仕上げに軽くうがいする
口に残った細菌や汚れを流すことでスッキリします。
ただし大量にゆすぎすぎると、歯磨き剤の有効成分が流れてしまうので注意しましょう。
④就寝前も忘れずに
一日の細菌をリセットするつもりで、寝る前のケアもしっかり。
睡眠中の細菌増殖を抑えることができます。
歯磨きは「口の病気を防ぐ」だけのものではない
歯磨き=むし歯予防、というイメージは強いですが、実はそれだけではありません。
今回の研究で示されたインフルエンザや、誤嚥性肺炎、風邪、その他全身の炎症リスク…。
お口の中の清潔さは、これら多くの病気と深く結びついていることが、近年の研究で次々と明らかになっています。
お口は身体の入口です。
その入口を整えておくことは、全身の健康を守ることにもつながるのです。
感染症シーズンこそ、歯磨きの質の向上を
今回の研究はまだ対象者が少なく、今後の追加研究が期待されています。
しかし、今回の研究で示された結果は、私達の日常生活に応用しやすい、健康への大きなヒントです。
マスクや手洗いと同じように、「丁寧な歯磨き」も感染症予防の一つの柱として意識してみてはいかがでしょうか。
あなたの毎日の習慣が、インフルエンザに負けない身体づくりにつながりますように。
地域の歯と笑顔を守る
土日も診療、京都府京田辺市・松井山手の歯医者
松井山手ひかり歯科クリニック
参考:
PubMedより、『歯磨き後の唾液の抗インフルエンザウイルス活性の強化』論文
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/40683893/























